今回は、明治神宮です。日本の木造建築の最高峰と言える社殿を備え、自然まで作り上げた都会の奇跡です。
日本の木造建築の最高峰。自然まで作り上げた都会の奇跡。
「
明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を祭神とする神社である」。即ち、明治期(1852年11月3日〜1912年7月30日)第122代天皇だった「睦仁(むつひと)」さんとその奥様「美子(はるこ)」さんを祀ってある所ということなんですね。別に目に見えない神や仏さまが祀られているわけではなく、人間が祀られてるのよね。
しめ縄。雄雌の蛇が絡み合ってる
形との説もあります。
何故か外国人が大好きな「絵馬」
「祭神」って何?「祀る」ってどういうこと?に始まって、明治神宮を語るときに必ず出てくる「神宮」と「神社」の違いや、民俗信仰としての「神道」や「皇室神道」、政教分離の問題、
伊勢神宮や
靖国神社との明確な違い等々が気になっちゃうのは私だけ? 神国日本とかで、八百万(やおよろず)の神々が日本にはいるらしいんだけど、昔は仏教寺院と神社は一緒にあったらしくて、ネットで検索かけて調べ始めるときりがない。お暇な方、あちこち飛んで見てください。
今回のご紹介は、明治神宮の内苑、原宿駅の裏手にある。神社仏閣としての明治神宮を見ると、これが、実に新しいんです。創建は1920年(大正9年)だから、わずかに築88年っすね。法隆寺の築1401年とは比べられないとしても、日光東照宮だって築391年でしょ。同じ木造の神社仏閣建築であっても、極端に若い建築なんですね。参考までに
東京駅舎の竣工は1914年(大正3年)だから、築94年。東京駅の方が古い建物です。

人工の森も88年経てば、既に自然。
明治神宮の大きな魅力の一つに神宮の森(正式名称は「
代々木の杜」)がありますね。表参道の喧噪を忘れることのできる、信じられない空間が広がってます。

御苑の池から小川も流れてます。
「明治神宮が出来る前、この辺りは畑がほとんどで、荒れ地のような景観が続いていた」そうで、今見る森は人工林なんです。私のつたない知識ではドイツから
ビオトープの専門家を招いての植林が行われたらしいんです。全国から植樹する木が奉納され、現在では246種類17万本もの木々が植わってるそうです。

御苑の紅葉です。
因みに広さは東京ドーム15個分の70万m²。今ではほぼ自然の状態になっているとかで、ビオトープの世界的成功例として諸外国でも有名なんです。
とまー、自然まで造っちゃった凄い所ですが、木造建築としてのグレードも、凄く高いんです。最高品質と言ってもいいんですよ。常に発展の途上にあった宮大工の木工技術が、鉄筋コンクリートなどの西洋建築が台頭して、下降線に向かう直前の絶頂期に建立されたモノとして、木造宮大工の最高の手腕が発揮された建物なんです。これ以上の質を誇る木造建築は世の中にない、と言うほどのモノで、こころして参拝してちょうだい。

本殿に最敬礼。

木組みの小口には石膏が
塗られています。

真ん中に見えるのは「樋」です。
屋根を語らずして日本建築を語ることなかれ!byモコモコ博士。

日本建築の最高峰の屋根です。

外国人が見ると壁がない未完成な
建物です。

日本建築の原点がここにあります。
表参道で日本建築を語るには明治神宮以外にはありません。折角ですので日本建築の神髄を感じていただくために、今回は「屋根」を取り上げたい。
日本の建築は屋根です。私たち日本人は何にでも屋根をつけてきました。先ず霊柩車。お迎えはあの屋根のある豪華な霊柩車が今も人気。昔、ビートルズが面白がって買って行ったとか言う奴。ちょっと品はないかも知れないけど、屋根がある。あれに乗って、あの世に行くのもオツなもんです。
船にも付けたでしょ、屋形船。無理に船上で火使って天ぷら揚げる危なっかしい木造船。子供の頃に行ったお風呂屋さんにも入り口には立派な屋根があった。
っと、建築家はあれは屋根とは言わず、破風と言う。
日本家屋を囲む塀とか門にも屋根はあった。パリの凱旋門は、門っつたって、ありゃ日本人には門には見えねーよ、屋根がないから。そういえば時代劇見てると街の掲示板にもちょこっと屋根がかかってる。五重塔は屋根の建築でしかないし、お城だって、屋根・屋根・屋根だもんな。「いらかの波と雲の波♪」って5月の子供の歌があるけど、「いらか」って「甍」って書いて屋根のことですからね。
能舞台は劇場の中に作ってあっても屋根が設えてある、なんで? 相撲の土俵の上の屋根、あれはいったい何なんだ! 昔は四隅に柱があったんだろう、きっと。危ないから柱取っちゃっても、屋根は欲しかったんですね。ボクシングのリングの上には屋根なんかないもんな。天井からぶら下げてでも屋根を残しておくのは、もう、執念だね、ありゃ。

これに屋根が付いてないと灯籠で
なくなっちゃう。
明治神宮の鳥居のいちばん上の横架材(笠木という)も、あれ、屋根なんじゃないの。入り口の鳥居の右側に掲示板があるけど、立派な屋根が付いている。中に入れば参道の石灯籠にだって屋根は付いてるじゃん。
「鳥居」を巡る、日本建築モコモコ的雑考。

明治神宮入り口の門としての鳥居
鳥居ってね「通り入る」から来てるとも言われるけど、鶏の止まり木を意味してるんですよね。昔は神社仏閣の前には、なぜか必ず鶏が居たのよ。東南アジアの方行くと、今でも居るけどさ。だから鳥たちの居るところにも屋根を付けたんじゃないかと私は思ってますけど、どうなんだろう。
まー門ですよ、神社の。ここをくぐって、玉砂利を踏みしめる音を聞きながら歩いてください。途中小さな太鼓橋を渡るんですが、お気づきですか? その内左側に大鳥居が見えます。ほぼ直角に曲がって行く角ですが、実は90度の曲がりではなく、縁起を担いで88度の曲がりになってます。

『 「明治神宮御苑」入り口 』
途中、石灯籠がいくつかあって、その後ろの方には、入ってはいけない、既に「自然」となった森が控えてます。話は飛びますが、鳥居の上に石ころを投げてうまく乗っかると縁起がいい、とかの習慣があるところがあるみたいですけど、明治神宮でそんなことすると警備員が飛んできますから、ご注意下さいね。途中左手に:
明治神宮御苑があります。

雪の御苑内部はこんなです。
時間があれば ¥500 払って中にはいるのも、いいっすよ。観光客のいない明治神宮の穴場です。加藤清正が掘った井戸や池なんかもあって、四季折々楽しめる日本庭園で、しっとりとしたデートにはもってこいです。

12本の太い柱で支える手水所の
屋根です。

お賽銭は入れないでね。
次に右に曲がると、もう一度鳥居があって、その先に御社殿の伽藍が見えてきます。そこの鳥居の手前、左側に手水所(ちょうずどころ)、右に屋根と柱だけの建物があります。両方とも柱と屋根だけの建築ですね。日本建築の原点となる構成です。柱と柱の間に戸が入って「間戸」マドで「窓」となりますが、日本の窓は欧米の窓とは意味が違うんです。
参道歩きで気持ちが落ちついたところで、いよいよ・・と、思いきや。

御影石を敷き詰めた何もない石畳の空間
どう?ここまで歩いて来ると気持ちが落ち着いてくるでしょ、日本の神社仏閣では参道を重要視します。メインの目的の所まで来るまでに心の準備ができるようになっているんです。欧米の教会は広場に面した大きな扉を開けると、正面に直ぐ祭壇がありますが、日本ではずいぶんとまだるっこしいのが特徴です。
長くなりました、今回はこの辺にします。日本建築について書くと際限がないんです。日本は妙な国ですから建築も妙なんです。靴を脱いで家に入るのは日本人だけですし、お風呂の作りも世界に類を見ないほど立派です。床の間や縁側、畳など外国の人から見ると、全く理解できない設(しつら)えなんですよ。書けばいくらでも書けちゃうんですが、あまり長いと、皆さん読んでくれないもんね。
明治神宮の意外なモチーフ。100以上のハート・マーク!
最後に一つだけ。明治神宮にはデザインモチーフともいえる、ハート・マークが、たぶん100を超えてあるんです。見つけた数だけ愛が深まるんですよ。私が勝手に決めたんですけどね。さー、ものにしたいお相手と一緒に、いくつ見つかるか。30 は簡単に見つかると思います。お守り買うよりよっぽど恋愛成就です。
ビーカーズが注目したポイント!!
ビー)122代天皇睦仁様が祀られていること。
カー)ビートルズが霊柩車を面白がって買ったということ!
ビー)参道の曲がり角が縁起を担いで88度だということ。
カー)鳥居の上に石ころを投げて乗っかると縁起がいいこと!でも警備員がいるからダメ~。
カー)あの玉砂利って靴の中よく入ること!
カー)玉砂利と海砂利の違いも今度博士に聞いてみようっと!
ビー)・・・あのさぁ、、明らかに聞いてるポイント違うよね。。。