今回は、表参道の通りに、わずか間口10メートルほどのお気の毒なくらい目立たない幅のビルです。イタリアを代表する皮革製品ブランドの「TOD'S 表参道ビル」です。設計したのは伊東豊雄って人です。
これほどに品の良さを醸し出すビルはそうそうないっす。

フロアーやサッシの横線がないと、
何階建てなんだか分かんない、
って素敵。
このビルの前とトイメンの伊東病院の間に横断歩道橋があります。そばの信号は、やたらと「待ち」が長いんで、是非歩道橋を渡りましょう。どっちから上っても
TOD'Sのビルが目に入ります。絶対に歩道橋を渡りましょう。きれいなコンクリート打ちっ放しの斜めの線がアナタの視線を釘付けです。

見上げれば、建築の品格を感じる。
これほどに品の良さを醸し出すビルはそうそうないっす。2004年の暮れにオープンしましたが、私の事務所の窓から上の方が見えるんです。竣工を楽しみにしてました。
明らかに、他とは違う外観を持つコンクリート打ち放しのビルです。これ見よがしに打ち放しの表面を出していないのが、何とも言えず品がいいんです。おまけに普通のビルには必ずある縦横の線を感じさせないんです。開口部の窓に窓枠が見えないし、ものすごいディテール(収まり詳細)をさらっと表現しているんです。
外壁のデザイン・モチーフに参道の並木、ケヤキの線を使ってます。

外壁のデザイン・モチーフに
ケヤキの線を採用。
外壁のデザイン・モチーフに参道の並木、ケヤキの線を使ってますね。斜めの線は1階の「幹」から上階に向かうにつれて枝分かれし、「幹」や「枝」のすき間、約270カ所にはガラスがはめ込まれ全て形や大きさが違います。「スゲーなー、良くやるよなーこんな設計」というのが大方のプロの印象です。外周を柱(厚300mm)で囲み、フラットなボイドスラブ(床のこと、厚500mm)で床を構成しています。「透明でもなく、単なるコンクリートの箱でもないものを実現したい」。との設計者である
伊東豊雄氏の思いが成功しています。

サッシもない、面一(つらいち)
のディテールです。
要求される躯体工事の精度は想像を絶するし、コンクリートの躯体仕上げとガラスとが面一(つらいち・同面ってことね)になっているし、サッシ枠が外壁表面に出てもいないし、目地も小さい。シール幅は通常より狭い10ミリ前後しかないんですよ。
竹中工務店の躯体工事の精度にはただただ脱帽なんですが、免震構造でなければ実現しなかった意匠ではあります。そう、この建物は、
プラダの金魚鉢と同じ考え方の免震構造で、大地が揺れても建物は揺れない建物です。だから駆体とガラスの間の緩衝スペースとしての「目地」幅が小さくできるんです。
間口わずかに10メートルの入り口の奥には、驚きの内装技術が。
昔ここには CAFE DE FLORE が
ありました。
内装は、入ってみるともうビックリしますよ。壁の仕上げ材に、部分的ではありますが本革なんか使っちゃってますもん。さすがTOD’Sっす。因みにインテリア・デザインも伊東事務所だそうです。鏡の使い方も旨いのでちょっと注意してみてください。この間できたビルにも鏡が多用されてましたけど、使い方が全然違うのよ。あっちは「チョットね」だけど、こっちは「ウマイッ!」って感じ。
間口わずかに10メートルの
入り口。
設計者の伊東豊雄っていう人は、1941年生まれの東大卒で、菊竹清訓の事務所に勤務した後、独立してます。独立当初はスタッフの中に
Dior を設計している
妹島和世がいたみたいね。私・モコモコ博士と同い年くらいかと思ってたけど、結構、歳いってますね、今年で67才だもん。2006年には
王立英国建築家協会よりゴールドメダルを受賞してるし、世界的にも注目の建築家ではあります。たまに表参道界隈を歩いてて、私2度ほどお見受けしました。見た目には若かったけどなー。
内部の写真は撮れないので、鏡や
本革を使った壁は、入って見て
ちょうだい。
彼の建築は、歳に似つかず、いつでも若々しいですよ、凄く。いろいろなことに対して挑戦的だし、私、大好きですね。今回のTOD'Sにしても、当初、伊東事務所は、斜めに立ち上がる「木の幹」を太いのを柱、細い枝をブレース(筋交い)と解して構造を考えてたみたいだけど、色々あって、結局はすべてが柱として「斜め柱構造」として大臣認定を取得したらしいのね。大臣認定まで取っちゃう拘りやツッパリは凄いことなんです。構造屋サンも大変だったはず。
入り口付近。
だいたい、この人の建築の多くは凄まじく真面目に「妙」です。横浜西口駅前広場のロータリーの中央に地下街の換気塔としての
「風の塔」がありますが、約20年前に建てられたコンクリートのタワーで、彼のデザインです。
夜見ないと面白くも何ともないやつ。見たことはないんですが仙台の
「せんだいメディアテーク」なんか、外観は驚きませんけど、内部はめちゃくちゃに大変なことになってる建物ですもんね。常に挑戦の姿勢を崩さない前向きのデザイン思考には敬服の一語に尽きます。
TOD’Sビルとケヤキが重なった、完璧な夜景を見よ!

I love this building so much.
どうですか、この夜景。街路樹のケヤキの線と外部の柱の線がピッタリとあわさちゃってて、どれが建物でどれがケヤキなのか分かんなくなっちゃうもんな。もう、ホント、立っ派です。I love this building so much. でございますよ。

下から見ても美しい。
デートのお相手がこの建物とすんなり同化できれば、かなりの御人ですよ。建物の中に入って狼狽えたり、変に気取ったりするようなお相手であれば、お付き合いはほどほどにしておいた方がいいかも。何にも感じないような人は論外です。
 昼のTOD'S |  夜のTOD'S |
ビー) 自然もデザインの一部にしてしまうって発想が!
カー) ノーティススポットがベリーナイスだよね
ビー) 見上げると分かったんだけどさ~
カー) ルック!ルック!
ビー) けやきの枝みたいになってるんだよぉ~
カー) そー!ソークールなんだよねぇ~
ビー) ・・・・・( ´△`)
カー) それがインポータントなんだよねぇ。
ビー) いつからお前さんはルーになったんだよ・・