GAPの交差点から渋谷方面に明治通りを行くと左側に「氷の結晶」ビルが出現する。正に「何だこれ」のインパクトの強いビルではある。強烈なオーラを放つ外観は、行き交う人の気を引いて放さない。
“彫刻のようにつくり上げたクリスタルな建築を目指した”氷山ビル。

明治通り左側から
Icebergとは氷山の意味であり「彫刻のようにつくり上げたクリスタルな建築を目指した」とは、設計を担当した
CDI(Creative Designers International)の
ベンジャミン・ウォーナー代表だ。
ファサードを構成するガラスの壁面は、凹凸を描きながら天に向かって建ち上がっている。縦横斜めの3次元角度を持つガラス同士をそのままで納めていて、妙に透明感を感じさせ、陽の光を得て様々な表情を見せる。表参道界隈に一つの暴力的な衝撃を与え、派手・派手しいことこの上ないビルではある。
規模は地上7階、地下1階。構造はS構造・一部SRC構造で、竣工は2006年4月です。

同じく右側から
正面右側の
1階,
2階に「
Audi Forum Tokyo(アウディ フォーラム 東京)」が入る商業ビルである。営業面積を最大限確保する為に内部は無柱空間となっており、天井も高く、開放感溢れるインテリアになっている。
このビルは、
階高といって、床から次の階の床までの高さを6mとり、かなり贅沢に空間を構成している。マンションなどの住宅の場合には、階高は3mすら取らない場合もあることを考えると、チョット驚いてしまう。
左右非対称の凹凸を形づくる外観は、ビルとしての常識的な形からはかけ離れ、私は嫌いではないが、何故か好きにはなれないのだ。何故だろう。少々考えてみた。

床が斜めってる?

トップ

氷を貫通する
氷のエレベータ・シャフト
日本で見るから違和感が拭えない?!その理由は・・・
この建物がニューヨークやロンドンにあれば「さすが海外の建築家は大胆だなー」と惚れ込むと思う。だが、しかし、ここは日本だ、東京だ。このアイスバーグ・ビルは、何故か日本の建物とは言えないような気がしてしまう。
設計者は英国人。日本に
CDI(Creative Designers International)という設計事務所を構えて、東京を拠点に日本全国、東南アジアでの設計を手がけている。

隣のビルとの違いが
際だっている。

エレベータ・シャフト内の
構造設備を見せている。

左隣のガラス張りが、
一般的な日本のビルです。
表参道界隈にも彼の手がけたビルは多い。大きいビルであれば、1,2階に洋服屋さんの「ZARA」が入った
ヴェロックス28・ビルがある。そう、このアイスバーグ・ビルの前の明治通りを新宿方面に歩き、GAPの交差点を左に原宿駅方面に坂を登る途中の左側にあるビルだ。他に私の事務所の直ぐそばに、今年(2008年)夏頃に竣工した「
portofino」のショッピング・コンプレックスがある。
セント・グレース・大聖堂と名付けられた結婚式場の前の、
できたてのショッピング・コンプレックスで、まだテナントが数軒しか入ってなくてチョット淋しい印象を与えるが、建築的には大聖堂よりはるかに良くできている。

氷砂糖みたいね

駐車場への入り口ドアも氷

メカニカルなエレベータ・シャフト
他に小さなモノが幾つかあるが、どのビルをみても強烈な印象を与えるのだが、私の感性をくすぐらない。一言で言えば、大味な感じがするのだ。日本人の、日本人による、日本人のための、空間やディテールに拘りが感じられない、ような気がする。ビルの建主はいずれも、香港の不動産開発・投資会社ヴェロックス・シティ・インベストメントだ。
どういう理由か良く判らないが、いずれのビルも竣工時にテナントが100%入らないままにオープンしている。折角の記念すべき完成時にテナントが埋まっていない寂しさを引きずる。

空を反射させて
垂直に伸びるシャフト
日本のかつての建物には、
侘び寂び(わびさび)の形容で代表されるような建物文化や、それとは真逆の「伝統はパンクだ」とも思えるような百花繚乱の煌びやかな
日光東照宮や歌舞伎的な文化が源にある。日本人は良く判らない、二面性を持つとも言える2つの文化だ。現在の日本人の設計による建物には、その源流にこの辺の日本人のDNAが感じ取れるのが普通だ。肌に合うってヤツですな。
しかしながら、このベンジャミン・ウォーナー氏には、そのDNAは流れていない。英国で生まれ育ち、東京工大の大学院だったけ、を出て、一時英国に戻って、
リチャード・ロジャースに師事している。
(リチャード・ロジャースというのは、同世代の
ノーマン・フォスターと自分たちの妻たちの4人の建築家とともに「チーム4」という建築の実験集団を結成した人なんですけどね。まーこの手の人の流れを汲んでいれば、私とは馴染まないかも、ですかな。)

外部エレベータ前の庇です

徹底してガラスを使ってます

1階右端のガラスの収まり
どういう切っ掛けなのか、日本で設計の仕事をしてるんだけど、彼の作品群からは、明らかに日本人のテイストとは異なる感性を感じる。不特定多数の人を相手にする大きな建物にあって、彼のその感性は十分に発揮され、面白い建物であることは間違いないんだが、私の感性とはどこか歯車がかみ合わないところがあるのよね。やっぱ、日本人のDNAとは違う何かを感じる。
ベンジャミン・ウォーナーになぜ「感じない」のかはわからない。

日本の施工技術があって初めてここまで
きれいにガラスを構成できる。
いいんですよ、強烈な印象で、大胆不敵なデザインで、中途半端さは感じないし、私は嫌いじゃないのよ。こういうのがあってもいいんだけど、東京、原宿・表参道にはなくていいよ、って感じね。
海外の建築家の作品も多いこの辺だけど、設計の中にどこか日本的なモノを感じ取れるのが通常なんですよね。何で、ベンジャミン・ウォーナーのモノだけはそれを感じないんだろう。不思議だ、やっぱよく判らない。
今後ご紹介したいイタリア系スイス人が唯一日本で設計したビルが、キラー通りにあるんでそちらも後日ご紹介しますけど、そっちと比較してみてちょうだい。何故か、そっちは凄くいいテイストなんですよ。建築家の名前?
マリオ・ボッタっつう人です。
第1回目で紹介したスパイラルの2階待合室に並んでいるアルミの椅子を設計した人です。お楽しみに。
カー) 吟じます!
カー) ちょっと前にできたジ・アイスバーグ・ビルぅ~
カー) 皆がお洒落なビルだな~と見ているけどぉ~
カー) ガラス張りでキレイなもんだからぁ~~あ~
カー) 同じガラス仲間のビーカーズもぉ~~
カー) これからいけそうな気がする~~~ぅ
ビー) ないと思います!