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「第22回 ビラ・モデルナ」   2009/09/20 up!  はてなブックマークに追加 
事もあろうに、この超・有名建築を忘れてました。何しろ滅多に通らない路地に面していて、私の記憶の底に沈んだまま、35年間、ひっそりと存在していました。分譲マンションです。それもワンルーム・タイプです。
表参道に、分譲のワンルームがあるんです。

前を偶然通りかかっただけでも、ん?何この建物、の印象です。
前を偶然通りかかっただけでも、ん?何この建物、
の印象です。
この表参道に、分譲のワンルームがあるなんて、凄いと思いませんか? 私は一つ欲しいですね。こんな部屋が、こどもの城青山劇場の裏の方(渋谷区渋谷 1-3-18)にあるんですから。竣工したのは1974年、35年前です。それでも、未だに美しく綺麗に建ってます。日本のマンションは、30年を過ぎると、いつ建て替えられても不思議ではない事を考えると、これは一つの奇跡です。

中庭に一歩踏み込むと、かなりの高密度であることが判ります。
中庭に一歩踏み込むと、かなりの高
 密度であることが判ります。
鉄筋コンクリートの構造駆体の寿命は60年なんですが、設備や防水などの寿命が15年ですから、15年ごとに大規模とも言える改修工事が必要なんです。丹下健三が設計した都庁の超高層は、築18年で、防水や設備関係の寿命は既に過ぎているんで、色々な不具合が出ていまして、メンテナンスが必要なんです。都庁の建設コストは1500億で、そのメンテナンス費用は1000億と見積もられています。ね、凄い金額でしょ。15年ごとに必要となるメンテナンス費用はかなり膨大で、通常のマンションでは、最初の15年目の改修工事はやっても、30年目の改修工事はしたがらないんです。新しく建て替えた方がいいじゃん、と言うことになっちゃうんです。

いずれも道路側からです。アプローチは自然に下る地下1階からです。
いずれも道路側からです。
アプローチは自然に下る
地下1階からです。
いずれも道路側からです。アプローチは自然に下る地下1階からです。
いずれも道路側からです。アプローチは自然に下る地下1階からです。


にも関わらず、立派に建っているのがビラ・モデルナです。この建物、未だに、凄くいいです。先日、カメラ片手に行ったんですが、人の出入りがかなりあるんです。ちょっと驚いたのですが、このワンルームを事務所代わりに使ってる方も多いみたいで、その関係かな、とも思いました。一応、写真撮影の許可を得て中にも入らせていただきましたが、日常的なメンテナンスに手抜きはなく、これであれば十分60年は持つ、との印象です。

中庭から見上げると、こんな感じですが、決して狭さは感じません。
中庭から見上げると、
こんな感じですが、決して狭さは
感じません。
中庭から見上げると、こんな感じですが、決して狭さは感じません。
中庭から見上げると、こんな感じですが、決して狭さは感じません。


鉄骨鉄筋コンクリートのラーメン構造で、地下2階、地上10階建てになります。「居室単位としては、2つの住居タイプと3つのオフィース・タイプを基準形として、これらの変形タイプを含め189室」と1974年12月号の雑誌「新建築」にはあります。

設計したのは、坂倉建築研究所。

建物の足下周りです。奥には共有スペースのエントランス・ホールがあります。
建物の足下周りです。
奥には共有スペースの
エントランス・ホールが。
建物の足下周りです。奥には共有スペースのエントランス・ホールがあります。
建物の足下周りです。奥には共有スペースのエントランス・ホールがあります。 width=


設計したのは、坂倉建築研究所で、故・坂倉準三が残した建築設計事務所です。私自身は賃貸派建築家で分譲マンションなど買う気はないのですが、坂倉事務所のマンションだけは立派です。ビラ・ノーバと言うマンションが世田谷にあって、3階建ての中庭を持つ分譲マンションなんですが、図面をみて、初めて、このマンションなら買ってもいいかもと思い、見にも行きましたが、当時もお¥には苦労してまして、近隣のマンションの倍の金額でとても手に入る物件ではありませんでした。たぶんこのビラ・モデルナも相当高かったと思います。いいものは、それなりの金額はするんです。そして、長持ちもするんです。

共用廊下です。住戸の玄関ドアは、きちんと一歩下げて配置されてます。
共用廊下です。住戸の玄関
ドアは、きちんと一歩下げて
配置されてます。
共用廊下です。住戸の玄関ドアは、きちんと一歩下げて配置されてます。
共用廊下です。住戸の玄関ドアは、きちんと一歩下げて配置されてます。


この坂倉準三という人は、建築の設計をやっている人にとっては、かなりのビッグ・ネームな方です。東京帝国大学卒業後、パリ工業大学を経由して、世界の巨匠ル・コルビュジエの建築設計事務所にいた人です。36才の時(1940年)に東京で坂倉準三建築研究所を設立し1969年に65才でなくなっています。

メイン・エントランスです。唯一のデザイン的不思議。なんで○なんだろう。
メイン・エントランスです。
唯一のデザイン的不思議。
なんで○なんだろう。
知ってる人は殆どいませんが、渋谷駅の設計は1954年に彼がやってます。「岡本太郎記念館」はご存じかしら、ブルーノートのすぐそばにある。かつては岡本太郎の自邸だったところですが、坂倉準三の手がけた住宅です。大きな建物ですと神奈川県庁舎(1966年)などが有名です。「戦後復興と高度成長の中で日本の伝統を新しい視点から作り直すことに情熱を傾けた」建築家ではあります。

他とは違うマンション「ビラ・モデルナ」。

中庭のこういう余裕が、品格なんです。たまに住人同士、集まるのかしら。
中庭のこういう余裕が
品格なんです。
たまに住人同士、
集まるのかしら。
中庭のこういう余裕が、品格なんです。たまに住人同士、集まるのかしら。
中庭のこういう余裕が、品格なんです。たまに住人同士、集まるのかしら。


さて、ビラ・モデルナですが、道路から建物へのアプローチが秀逸です。地下1階に吸い込まれるように下りてゆくのですが、大きなテーブルがあって、未だに人々の憩いの場として使われています。一本の植栽としての高木が見事に機能し「このマンションは他とは違うんだからね」と主張してます。

こういう自然の使い方が、住民に<br />とっての一服の清涼剤です。素晴らしい。
こういう自然の使い方が、住民に
とっての一服の清涼剤です。
素晴らしい。
世田谷のビラ・ノーバの中庭にも中央に1本生えてましたが、立木の使い方ととして1本だけ、必要なところに植える手法は見事ではあります。ビラ・モデルナの小さな各住戸もギリギリの所でプライバシーを確保しています。採光を考えての天窓は「From 1st」と同じコンセプトですね。黒川記章中銀カプセルタワービルと同じ程度の広さではありますが、こちらの方が人間的な印象を持ちます。黒川も、このビラ・モデルナは見てるはずです。何らかの影響をうけたように感じます。

日常的に安価にメンテナンスができる設(しつら)えを意匠に取り込んでます。
日常的に安価にメンテナンスが
できる設(しつら)えを意匠に
取り込んでます。
日常的に安価にメンテナンスができる設(しつら)えを意匠に取り込んでます。
日常的に安価にメンテナンスができる設(しつら)えを意匠に取り込んでます。


外壁から飛び出ている鉄筋の棒は、メンテナンス時の足場として考えてあるように思います。あれがあるのとないのとでは、費用に格段の差が出ます。小さな不具合を、そのままにせず、危険ではありますが職人による外部から工事が可能となり、建物の寿命にかなり影響します。仮設の足場を足場としてではなく意匠の中に上手く組み込んだデザインです。

築35年。いいものは100年もっても不思議ではない。
築35年。いいものは100年もっても不思議ではない。
当初から計画されていた地下1階のレストランは、昔は高給レストランが入っていたようですが、今は飲み屋さんのようなものが夜だけオープンしてます。坂倉の建築に触れたい方は、行ってみてもいいかも。

ビー) 坂倉準三!
カー) 僕らもリスペクトだよね!
ビー) そして僕は板倉建築に憧れて勉強を始めたのだ!
カー) ル・コルビュジエのトコにいたっていうのもすごい!
ビー) 近代建築の世界三大巨匠の一人だからね~
カー) あと二人はもちろん言えるよね???
ビー) フランク・ロイド・ライト!ミース・ファン・デル・ローエ!
ビー) 四大巨匠だとヴァルター・グロピウスも!
ビー) あ~舌かみそうだった。。。

 
 



第23回目にご紹介するのは、白いロールケーキ・ビルです。普通なら20階建ての高さなんですが、なんと9階建てです。美味しそうな賃貸オフィース・ビルです。そう、そんなビルが表参道にはあるんですよ。お楽しみに。


 
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