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「第24回 根津美術館」   2009/11/06 up!  はてなブックマークに追加 

実に控えめな入り口
実に控えめな入り口

 今回は、新装オープンの根津美術館です。雰囲気的には、表参道の南の端っこにあって、南のピリオッドになってます。ここから直線で真っ直ぐ行くと、北のピリオッドとしての明治神宮があります。今年(2009年)の10月7日に、3年半ぶりに開館しました。以前の根津美術館では、中庭の喫茶店でお菓子とお茶を頂くのが楽しみではあったのですが、あの甘味処は未だあるのかしら。さっそく行ってみました。

一気に表参道の喧噪とは別世界へ

歩道に平行して軒下の回廊
歩道に平行して軒下の回廊
軒の出は約 4.5 m
軒の出は約 4.5 m
回廊の床が美しい
回廊の床が美しい

お〜〜、そうか、軒下を歩かせるのね。通りの信号を渡ると、直ぐに控えめに徒歩での来館者用のエントランスが出迎えてくれます。長さ約50メートルの軒下。歩道があるにもかかわらず、わざわざ敷地内の軒下を歩道と平行に歩かせるんです。なかなかやってくれるじゃないのよ、の印象を抱かせる竹の回廊です。歩道との間には植栽としての竹林ができあがってます。一気に表参道の喧噪とは別世界に引き込んでくれます。

歩道との間の竹林
歩道との間の竹林

 建物の外壁には、さらし竹と言うらしいんですけど、びっしりと直径30ミリの竹が打ち付けられています。黒の玉砂利(黒那智)の間に歩道を設け、美術館へ入る心の準備をさせてくれます。明治神宮の玉砂利を踏んでその音を聞かせ、本殿に向かうまでの演出と通じるところがあります。

 設計したのは、誰だっけ。クマさん、隈研吾です。表参道交差点の『ONE 表参道』をやった人です。随分と印象の違うビルを設計したモンだ、とも思えちゃいますね。今回は和風を感じさせるじゃないですか。庭の甘味喫茶は未だあるのかなー、とそっちの方も気になったりして。軒先の処理も思い切ってますね。樋がないもん。そのまま雨水は流しちゃうのね。その雨水を受けるドブが玉砂利の下に隠されています。


切り妻の大屋根
切り妻の大屋根
大胆な鉄板屋根
大胆な鉄板屋根
高圧木毛セメント版の軒天井
高圧木毛セメント版の軒天井

切り妻の大屋根に降った雨が一気に軒先から落ちるのってどんな感じだろう。今度、雨の日に見に来なきゃ。亜鉛メッキされた梁が表しで軒を支えてます。ディテールはきれいですね。ここまでは実に繊細な設えになっています。なかなかいいんじゃないの。庭が壊されてて、甘味喫茶が無くなってたら、ただじゃおかないからね、と左に曲がって建物入り口です。

内部にも和を醸し出しています。

建物入り口
建物入り口
ミュージアム・ショップ
ミュージアム・ショップ
入り口を入って直ぐのホール
入り口を入って直ぐのホール

東武鉄道の社長なんかしてた根津嘉一郎(1860〜1940)がお¥に糸目をつけずに集めた自慢のコレクションが、ホールの壁や窓を背に並んでます。日本や東洋の古美術品だ。この辺の素養のない私は、並んでいるモノよりもインテリアの仕上げの方が気になっちゃいます。


ホール奥、右手が展示室
ホール奥、右手が展示室
ホールはちょっと暗いのね。
ホールはちょっと暗いのね。
大胆な天井がいい
大胆な天井がいい

天井板の木口
天井板の木口

竹を練り付けた天井
竹を練り付けた天井

床は断面詳細図(日経アーキテクチャー、2009-10-26 号)には「コーラルグレー t=30 」とありますね。商品名だと思うけど、コーラル(coral)の意味は珊瑚でしょ。何なんだろう、よく判らないけど、壁にも同じモノが使われてますね。天井は「PB t=9.5 ダイライト t=6 竹練り付け」となってます。PB(プラスターボード)やダイライト(大建工業の建材、商品名)は建材としてはよく使うモノですけど「竹練り付け」とありますなー。写真にも撮ってありますけど、竹を薄くスライスしてそれをダイライトに練り付けてるのね。内部にも和を醸し出して、根津さんのコレクションを展示する空間には持って来いの仕上げだと思います。



雨水を受けるドブに那智石
雨水を受けるドブに那智石

私は展示品には全く興味がないので、展示室には一歩足を踏み入れただけで戻ってきました。入ったところで、私と同年代の女性達がたくさんいます。暗いので写真も撮れないし、今日はいいや、と言うこと。これじゃー、外の甘味処もマダム方に占拠されてて入れないな、とここで諦めました。



根津美術館の魅力はお庭。

木々の間に見えるカフェ
木々の間に見えるカフェ
池もあるんです
池もあるんです
船まで浮かんでます
船まで浮かんでます

根津美術館の魅力はお庭とも言えるのですが、坂あり、池あり、いくつものお茶室ありで、多くの木々の中に結構密度濃くて、開放的な雰囲気はありません。広いと言えば広いのですが、狭く感じちゃう。私としては、余白が欲しいんです。南青山にこれだけの庭を維持していた根津ファミリーの凄さは感じますが、美術品の趣味趣向や空間の味わいなど、私の感性と重ならない所が大きいような気がしちゃうんです。ダメだとか、悪いとかじゃないんですよ。いいんですけど、私は以前あったお庭の小さな甘味処でお茶が頂ければ、それで十分なんです。


キャプション
大きめのお茶室
にじり口、が見える
にじり口、が見える
この辺が大屋根のモチーフ
この辺が大屋根のモチーフ

日本建築に多用される竹
日本建築に多用される竹

でお庭です。写真の通りのモノがあります。新美術館の大屋根切り妻が美しいのですが、お茶室の屋根の連なりに、今回の屋根のデザイン・ヒントを見つけたんじゃないでしょうか。日本建築では多々あるデザインですが、上手く現代風にアレンジしてます。多様している竹についても、日本古来の使われ方を参考にしてますね。


大きくなったカフェ内部
大きくなったカフェ内部
カフェ入り口
カフェ入り口
ちょっと木々が多いかも
ちょっと木々が多いかも

お庭の甘味処は、以前の趣は吹っ飛んでました。本来のクマさんを感じさせるデザインで、茶屋とは言えない、NEZU CAFÉ として、かなり大きな空間が出現してました。新館とはデザイン・コンセプトも、何もかも違った建物でした。混沌の日本庭園に新たな混沌ができあがっちゃってました。私は、あの、壊れそうな感じさえした、古びた小さな汚い建物で良かったのに、なんとなく淋しい感じ。



カー) よっ!待ってました!根津美術館!!
ビー) さて、問題です!根津美術館の創立者と言ったら・・・
カー) 二代根津嘉一郎!
ビー) ・・・ですが、山梨県にある初代根津嘉一郎の実家を記念して作ったのは・・・
カー) 根津記念館!!
ビー) ・・・なんですが、同じ山梨出身で唐十郎から芸名を付けられた俳優は・・・
カー) 根津甚八!!!!
ビー) ・・・なんですけど、6代将軍徳川綱豊(家宣)が生まれた地でもある、文京区にある神社は・・
カー) 根津神社!!!!
ビー) ・・・おぬし、根津にめっぽう強いのぉ~
カー) 君こそ「根津」が大好きだよね・・・ヾ( ̄o ̄;)

 


 



 次回は、表参道の控えめながらキラリと光る、私の好きなビルをご紹介します。モリハナエビルの裏、クレヨンハウスの手前にある鉄骨3階建ての商業ビル「La Chiara 表参道」ビルです。


 
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